運動科学・二軸感覚について

スポーツ

小さい頃から私はスポーツなどの指導で「軸を意識しなさい」と言われてきました。皆さんの中にも同じように言われたことがある方は多いんじゃないでしょうか?
この場合多くの人は頭のてっぺんから背骨を通っておへそから地面に一直線に一本の軸が入ったイメージを持たれると思います。この感覚を中心軸感覚と言います。今日お話ししたいのはその感覚とは少し違った感覚のお話になります。

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二軸感覚とは

まず勘違いしてはいけないのは中心軸感覚が間違いというものではなく体の使い方の一つとしてこういう意識、使い方もあるということが大前提です。
二軸感覚とは左右の肩甲骨から股関節にかけて縦に二本線を引いた感覚のことです。ただ身体全体を通す軸を股関節上に規定することはできないので、これはあくまでも主観的であり、感覚的な軸のことをいいます。

↑多くの人が感じている軸。            ↑今回紹介する主観的であり感覚的な軸        

肩甲骨、股関節から出た線が行き着く先は…

ではその肩甲骨、股関節から出たイメージの線はどこに行き着くのか?肩甲骨から出た線は肩から上腕骨を通り、尺骨を抜けて薬指に抜けていきます股間節から出た線は大腿骨を通り、脛骨を抜けて手と同じく足の薬指に抜けていきます。手の薬指からの線が同則の肩甲骨、股関節を通って足の薬指に抜けていくイメージがわかりやすいかと思います。(足から手に抜けていく感覚でももちろん問題ありません。)この感覚は対角の動きになっても基本的に同じです。このラインが手や足から何かに力を伝えるときに一直線になるイメージが大事でこの骨のラインをつなげることができれば体の中心付近で作った力をロスなく末端に伝えることができます。

ベンチプレスなどのウエイトトレーニングなどをおこなう際も、バーを持つときに薬指を意識しながら持ったりすることで力が伝わりやすくなることがあります。あくまで個人差がありますがぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

人は安定して立とうとする生き物。

人間も本来は四足歩行だったと言われています。

人間は四足歩行から進化の過程で二足歩行になりました。二足で立とうとすると人間は安定して立とうとします。安定して立つということは運動力学的には左右の支持面の内側に重心線がある状態のことをいいます。重心線が指示面の左右どちらかに外れると倒れる力が働きます。
だから人間は重心垂線を体の中心軸を感覚として感じているところがあります。
人間が立った状態で四肢の動作をする場合は、中枢運動制御機構は姿勢制御を優先するので、どうしても人間は重いものを持ったり、トレーニングで高負荷のものを挙上しようとすると体が勝手に安定しよう安定しようとしてしまうのです。

アスリートは不安定の状況でパフォーマンスをおこなう

シンプルにウエイトトレーニングなどで筋肉に対して刺激を入れたい場合には安定した状態でトレーニングを行うことになんの問題もありません。安定した状態の方がより筋肉に対して刺激を入れやすくなります。ただアスリートは投げる、打つ、飛ぶ、蹴るなどの動作をおこなう時、安定した状態で体を使うことがほとんどありません。というよりは全くないと言っていいでしょう。片足、空中、重心移動など、常に動きながら体をコントロールしなければいけません。逆に言うと不安定な状況で体をコントロールし、地面からもらった力を股間節、肩甲骨を通して末端にロスなく力を伝えれる人間が運動能力の高いアスリートだと言えます。

中心軸歩行と二軸歩行

では具体的にどのように体を使えばいいのか、中心軸と二軸の体の使い方を比較して歩行で説明していきたいと思います。
中心軸感覚で歩く人は体の中心に軸があるので骨盤を左右に回転させます。その時にバランスを取ろうとするので肩と腰を反対方向に回転させる動きになります。ですので体幹が捻れる動きになります。つまり中心軸を意識した動作は体を捻る動きになるということです。となると自然と踏み出す足も進む方向に対して一直線の足跡が付くイメージになります。

次に二軸感覚で歩く人は肩甲骨と股関節の左右両方に軸があり、その左右の軸に重心をうつしながら歩行します。中心軸の人が肩と骨盤を左右に捻るように使うのに対して、ニ軸の人は骨盤と肩のラインはほぼ変わらず、骨盤の回転もないので自然と踏み出す足が2本の線を引いたような足跡になります。

また足の動きを見てみると、中心軸歩行の人は踏み出した足の逆の骨盤が後方に残される形になります。そこからまた体を捻って前方向に足を持ってくるという動きが必要になるのでどうしても前方向に力が向きにくく力が必要になります。

一方手で二軸歩行の人は体の捻りがないので骨盤が後ろに残ることがなく、踏み出した足にある重心から逆の足に重心を移しながらの移動になるので力のロスなく前方方向に力を伝えやすくなります。

手足の使い方も中心軸感覚の人は右手と左足、左手と右足を互い違いに振る左右交差感覚になりますが、二軸感覚の人は右足を踏んで右手が出ていく、右手が出ていくとすかさず左足を踏んで左足が出ていくという動きになります。

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スポーツにおける二軸動作

今回は投げるという動作においての中心軸動作、二軸動作の違いを比べていこうと思います。
基本的に投げるという動作は「より長い移動距離で」「より大きな力」を物に及ぼすことで決まると言われています。右投げの動作で説明していきます。

投球という動作は重心移動(並進運動)と体の回転で物に力を伝えます。 右手が投球側の場合中心軸回転の投球フォームは右足で立ち前方方向に重心移動し、回転動作に入ります。右腕を前方向に振り出す時に左の脇を開きながら、または引きながら腕を後方に引いてバランスを取ろうとします。この時に力の方向が体の中心から外向きに働くので腕に体が持っていかれないように体幹を左に側屈させてバランスを取ります。ですので自然と左肩が下方向に傾いた形になります。中心軸感覚の投球はその場に居着く感覚を最優先する動きになります。自身のバランスを保ちながら両足で安定して投げようとする動きです。

次に二軸感覚の投球ですが、同じく右足で立ち前方方向に重心移動していきます。この時に体の軸は右側にあります。そして踏み出した足が地面についたとき、重心は左側に移ります。体の左側に軸があり、左肩を回転動作の中心として回転していきます。この時左腕は後ろに引かずに左肩の動きを少なくします。回旋軸が左肩にあるのでそこがブレないように注意しなければいけません。こうすることで左軸が形成され力の向きも中心軸回転では外側に力の方向が向いていたのに対し、二軸回転では力の向きが外から内に向きます。力の向きが外から内方向になり左肩の動きを少なくしているので体が左方向に傾かず力の向きが安定する動きになります。こうすることで体の力をロスなく物に伝えることができると言うのが二軸動作です。

つまりニ軸感覚というのはバランスを崩して、またそのバランスを修復する、安定と不安定と繰り返す中で左右の軸の移し替えによって力をロスなく伝えるというのが二軸運動の本質です。不安定の中に安定を求めていったものがスポーツの中で巧みな動きを生んできたと言っていいでしょう。

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まとめ

いかがでしたか?今回は運動科学・二軸感覚の歩行、動作への応用の記事を書かせていただきました。最後に一つ言いたいことはこの感覚は全ての人に当てはまる訳ではないということ。
前回の記事でも書きましたが、スポーツの世界では主観と客観がずれています。運動を実践するときの感覚は人によって個性があり他人がこうするべきだ、こうしなさいと自分の感覚を押し付けてしまうと選手をつぶしかねません。小さな子供たちや夢を追いかけている選手たちに一つの基本である共通性と、多様な個性がある多様性があるということを理解してください。

私も多くのことを勉強し、実践、修正を繰り返してこの二軸感覚というものに出会い自身のパフォーマンスを向上することが出来ました。ここに至るまでに多くの失敗があったことも実実です。もしかしたらもっと自分に合った感覚、トレーニング方法などがあったかもしれません。年齢によって体に変化が起こる中で最高のパフォーマンスを出すにはどうしたらいいか?多くのアスリートが感じていることだと思います。これが答えというものはスポーツの中には存在しませんが、自分の中でこれが自分にとって答えなのかな?と思えるものが1日でも早く見つかるといいですね!

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